私には小学5年生の娘がいます。娘は思春期真っただ中。もともと人前に出ることは得意でない性格でしたが、最近は輪をかけて「とにかく目立ちたくない」と言います。写真を撮られるのもイヤ。運動会で撮ったスマホの写真は、「イヤだ、お願いだから消してー!」と大騒ぎです。そして「○○をやってみない?」「○○に行ってみない?」と誘ってみても、新しいことには即答で断られます。「いい。」「やらない。」「家で待ってる。」こんな調子なので、親子の会話は度々交渉になります。
苦手なことへのチャレンジ 母娘の交渉
2020年、中学2年生の息子も一緒に3人で英語のフォニックスを学びました。アットホーム留学ティーチャーの齋藤さおり先生が主催された、Zoom講座「親子でフォニックス連続講座」に参加しました。娘は消極的ながらも、私も兄も一緒なのでなんとか参加してくれました。なるべく画面に映らないポジションで(笑)。学びを定着するべく、私は講座の第2期も再受講を決めました。2期では息子は参加しなかったので、私は毎回娘を誘います。1度受けた内容だからか、さおり先生に慣れたからか、参加はしてくれましたが、前のめり感はゼロでした。
2期も終了の頃、さおり先生から受講生親子にある企画が渡されました。それは、2020年最後に「フォニックスを学んだ子どもたちの成果発表会」でした。発表は希望者のみなので、我が家は見るだけの参加もできたのですが、今年最後のチャレンジに!私と一緒なら大丈夫かもしれない!と、私はダメもとで娘を誘いました。「できた!」という達成感を何か感じることができたら、娘の中で何かが変わるかもしれない、と思ったのです。
私: フォニックスの発表会、お母さんと一緒に出てみない? お母さん、“ea” の音について発表できたらいいかな、と思うことがあるんだ。
娘: やらない。話すのは絶対イヤだ。
私: 今年最後に一緒に挑戦してみようよ!
娘: いい。(首を横に振る)
私: じゃあ話すのはお母さんがするから、得意な絵で資料を作ってくれない?
娘: ・・・、それならいいけど。
私: ありがとう!その資料を持って一緒にZoomに映ってくれる?
娘: えー!・・・、じゃあ持つだけね。
なんとかこれで一緒に参加してくれることになりました。きっと娘は、「やりたいならお母さん一人でやればいいじゃん。」と思ったことでしょう。乗り気にならないのは、わかっていました。自分の口で発表しなくても、過程を一緒に取り組むだけでも、「一緒にやった感」を感じてもらえないかな、と期待しました。
自分からやる気に!娘にスイッチが入った出来事
発表会にエントリー後、さおり先生から受講生親子に新たな企画が渡されました。先生の息子さんによる、「小学生でもできるパワーポイント資料作り」Zoomの会でした。これは私自身が作り方を習いたかったので、すぐ参加を決めました。もちろん、娘も誘いました。しかしながら、いつものごとく「いやだ。私はやらない。」の返事。
それでも、当日一応誘ってみることに。
私: 普段タイピングや学校のプログラミングも楽しくやれてるから、きっとこれも楽しいと思うよ。発表会の資料をパワーポイントで作れたら、かっこいいのができるよ!一緒に聞くだけでもいいから、聞いてみようよ。
娘: ・・・。わかった、じゃあ聞くけど私は映らないから。
娘は私の隣に座ったけれど、講座のあいだ他事をしていました。私が途中内容についていけなくて、あたふたした時はパソコンの画面をのぞき込んでくれましたが。
すると、講座終了直後に娘が「資料作ってあげる。今からやるよ。学校では情報委員なんだから、私だってパソコン使ってるんだから。」と言って、いきなりやり始めたのです。約50分、集中して一人でパワーポイントに取り組みました。私は娘の変わりようにびっくりでした。娘の中でスイッチが入った瞬間でした。
我が子をよく見せたい 親の理想と焦り
発表会の日が近づくにつれ、さおり先生からエントリーした発表者と発表の順番が知らされました。私はそれを見て恐らく焦ってしまったのだと思います。たくさんのお子さんたちがエントリーしていて、親子でエントリーはうちだけ。一緒にやるにしても、娘も少しでも何か発表できないだろうか・・・と考え始めました。みんなにうちも娘の良いところを見せたい・・・という親としての欲が出てしまったのです。
資料作りが途中だったので、続きを作ろう!と声をかけると、やってくれましたがその時は1回目とは明らかに違ってイヤイヤ感が出ていました。やはり自分からスイッチが入った時とは様子が全然違うのです。一緒に練習したいと思っていた早口言葉にも全く興味を示さず、娘にさらに求めることは無理だと、私はあきらめることにしました。資料を完成してくれたことが、まずは “good job”。
子育ての大切な軸 人と比較しない
その判断がすんなりできたのは、私に大切なことを気づかせてくれることがあったからです。ちょうどこのタイミングで学校から配布された、学校関係の新聞にズバリ私に必要な内容が掲載されていました。主旨としては以下になります。
・結果中心の教育や子育ては、優越感と劣等感に揺れ動く子供たちに育て上げてしまう。
・子供を比較してはいけない。子供に理想を押し付けてはいけない。
・しっかりとその子の頑張りとプロセスを見て、そのままを愛していく。
・子供の本音、それはとても近くてとても遠いもの。でも、親が理想を捨てればしっかりと見えてくるもの。
「人と比較しない」これは、アットホーム留学でも常々言われてきたことでした。また、さおり先生からの、今回の発表会の案内にも「人と比べる場所ではなく、それぞれのお子さんが、それぞれのレベルでできることを発表する会です。それぞれのがんばりを堂々と表現できることが一番!」と書いてありました。
子供に無理強いはしない、と決めていたのに、一瞬にして人と比較して、焦って自分の軸がブレていました。娘との最初の交渉で「資料作りはする。Zoomにも映る。」と、娘はOKしたのだから、その前進をとにかく認める。みんなの前で話したくなったら、自分から話すはず。
そして発表会本番、娘は約束通り私の隣りでZoomに映ってくれました。順番が回ってくるまでの隣りから伝わってくる緊張感はすごいものがありました。頑張って、冒頭に “I’m 〇〇.” と、名前は言えました。わかりやすく作れた資料のアニメーション操作もしてくれました。 Well done!! がんばったね。
Zoomの最後にいつも全員で写真を撮るのですが、その時は娘はもう隣りにいませんでした(笑)。It’s OK! それでもいいんです。娘のこれからの人生はまだまだ長いので、長いスパンで見守ります。私の子育ての軸はきっとまたブレることが出てくるでしょう。でもアットホーム留学との関わりで、私はまた気づき立ち返ることができるのだと思います。
Comments
ちかさんがご自身の気持ちの揺れを冷静に振り返られてるのがすごく大共感です。私もすぐ子どもに「あともうちょっとできるんじゃないか」なんて、期待をしてしまう気持ちが出たり入ったりして「ちがうちがう」と引っ込めたり自問自答・ひとり反省会よくします。お母さんも、子供さんも、十分頑張っているんですよね。「人と比較しない」という最後の項目がとても力強くて、自分にも、子どもにも置き換えてジーンとしました。
mikiさん
コメントありがとうございます!
大共感してもらえて嬉しいです。
mikiさんがお子さんに期待してしまう気持ちも、迷って悩む気持ちにも大共感です。
その都度、お互い子供を見守ることを大切にしていきたいですね(^^)
読みながら、頑張ってるお母さんに付き合ってあげよう、期待に応えたい、そんなかわいい娘さんの姿が浮かびました。
資料を作ってくれるなんて優しい^^
やっぱり、親が頑張ってる姿をみせるのは、大事だな~と思いました!
ゆうりさん、コメントありがとうございます。
そうですね、改めて娘は私の期待に応えようと頑張ってくれたんだなぁ、と思います。親が頑張る姿を見て、子供も何か感じてくれることを期待します(^^)