数年間の自粛生活を経て、子どもを取り巻く環境は元の生活に戻りつつありますね。私たちが置かれている環境は、刻々と変化していくんだなと、感じているかたも多いのではないでしょうか。
おしゃべりしながら給食を食べることや、みんなで集まって遊ぶこと。
数年ぶりに学校祭が開催されたり、保護者が参加できるイベントも増えました。
大人にとっては久しぶりで嬉しいことでも、子どもたちにとっては初体験や緊張の連続なのかもしれませんね。
それは少なからずストレスになったり、モチベーションが上がったり下がったりするのはごく自然なこと。
とはいえ、子ども自身でモチベーションを保つのは難しいし、下がりっぱなしも困りってしまいます。
今回は、みなさんが良く耳にするモチベーションについておさらいし、おうちでママができる、○○をやめるだけで効果的なモチベーション対策をご紹介します。
目次
1.モチベーションってなぁに
モチベーションとは、やる気、動機づけ、目的意識のことを指し、行動を起こし目標に向かって維持・調整する過程や機能のことをいいます。
しかし、そもそも「やる気」というものは存在せず、「行動するからやる気は起きる」というのが脳の仕組みだといわれていることも事実です。
子どものやる気を上げるのが先?
それとも行動を習慣化するのが先?
まずは、モチベーションに関することをあらためて調べてみました。
1-1.外側から動機付けられるモチベーション
主に外からの誘因で始まり、外発的動機付けともいわれています。
・お手伝いを頑張ったらお小遣いをアップするよ
・100点とったらご褒美に○○を買ってあげるよ
・目標達成できなかったらゲーム時間を減らすからね など
特徴:一時的にモチベーションが上がっても継続するのが難しい
自発的な行動にはつながりにくい
良かったのは最初だけ…
皆さんも似たような経験ありませんか?
1-2.内側から動機付けられるモチベーション
子どもの興味や好きなことから引き起こされる、内発的動機付けともいわれます。
子どもの気持ちや意欲がもとになり、満足感を得ることが目的となります。
・家庭学習で目標を達成したときの満足感
・周りから認められたときの満足感(承認欲求や自己肯定感)など
特徴:「もっと良くしたい」と子どもが自発的に考えるようになる
長期的にもプラスの効果が期待できる
1-3.モチベーターとは
自然にやる気が出ること(要素)や、組織の中で周りの人をやる気にさせることができる優れた人材のことをモチベーターといいます。
社会の最小単位組織であるおうち環境では、ママがパパがこのモチベーター的存在になりうるのです。
子どものモチベーションを上げられたら、子育て全体に良いことがありそうですよね。
皆さんも、そんなモチベーターになってみたくはありませんか?
2.モチベーションに関係する脳内の変化
人がやる気を起こすとき、脳の中ではどのような変化が起こっているのでしょうか。
次に、代表的な神経伝達物質についておさらいしてみましょう。
2-1.やってみたい、行動したい ~ドーパミン~
自分から「やりたい!」と行動を起こすとき、脳内では神経伝達物質のドーパミンが分泌されます。楽しいことでワクワクしたり目標を達成してご褒美をもらえた時、脳内ではドーパミンが出て気分が良くなります。
ドーパミンは快楽物質とも呼ばれ、興味や関心を持つことでも分泌されやすくなります。
モチベーションと深い関係があり、応用神経学者の青砥氏によると、ドーパミンの分泌は以下の二つの情動に分けられるそうです。
・want(欲する)…既に知っている事や経験済みからの気持ち
・seek(探求する)…未経験だがとにかくやってみたい!知りたい!の気持ち
そして興味深いのは、want(欲する)の気持ちだけでは未知への挑戦に対してのモチベーションは上がらないとうことです。経験したことのない未知の挑戦へのモチベーションを上げるためにはseek(探求)の気持ちで分泌されるドーパミンが必要。子どもの「やりたい」「知りたい」という興味関心を育てる環境作りが重要となるわけです。
小さな頃から子どもの興味や関心へのアンテナを伸ばせるのは、ママが最強だと思いませんか?
2-2.やらなければならない ~ノルアドレナリン~
日常には「~べき」「~しなきゃ」が溢れています。
「○○までに宿題提出」など、やるべきことへのプレッシャーでモチベーションが上がるとき、脳内ではノルアドレナリンが分泌されています。
このノルアドレナリンは、脳の働きを鋭くする一方で他のことに注意が分散されやすく、集中力が下がるという特性があるそうです。
「やらなきゃ」が山積みだと、気持ちが落ち着かず無駄な思考が多くなりますよね。
3.モチベーションと自己肯定感
ありのままの自分を受け入れること。認めること。
尊重し、ポジティブにとらえることができる感情のことを自己肯定感といいます。
自分の存在価値は、持っているスキルや成し得たことで決まるのではなく、そのままの自分に価値があるという自分軸をもち、自分らしく人生を歩むために自己肯定感は重要な感情です。
では自己肯定感とモチベーションはどのように関係するのでしょうか。
●自己肯定感が高い人の特徴
・物事を肯定的に受け止めることができる
・自分を尊重し他者も尊重できる
・自分の意見を伝えることができる
・失敗してもその事実を受けとめそこから学び次へのステップを考えることができる
●自己肯定感が低い人の特徴
・物事を否定的に受け止める
・自分が悪い、自分のせいだと思いがち
・自信がなく意見が言えない
・失敗への言い訳をしたり人のせいにする
・失敗すると傷つき立ち直りが遅い、チャレンジすることをあきらめてしまう
お子さんがどちらかのタイプかによってアプローチの方法は変わってきますが、何かを成し得た時の自己肯定感をまずは蓄積させていけるような環境作りが大切です。
ここで大切なのは、ママ自身も自分を好きであること。
ママも子どもも一緒になって、自己肯定感を高められたら素敵ですね。
4.やめるだけで効果アリ?やる気を下げる4つの習慣
モチベーションについてご紹介しましたが、みなさんいかかでしたか?
環境や習慣を変えることはそう簡単なことではないし、意識を変えることはそれなりの時間がかかります。忙しいママならなおさら大変ですよね。
なので、今回はまず簡単に取り組めるモチベーション対策からご紹介します。
モチベーションを上げる前に、下げない方法を知っておくことも大切。
ママが無意識に子どものモチベーションを下げてしまっていたとしたら、そんな勿体ないことはありませんよね。
コロナ禍で変化した生活は、子どもだけではなく親自身も辛いもの。少しネガティブな思考になったりやる気が起きなかったり、頑張る気持ちはあるのに活力が湧いてこないこともあるでしょう。
やる気が起きない状況(モチベーション低下)の原因を知り、まずはやめる行動をしてみませんか?やめてみることで特に効果が感じられた4つのポイントについてご紹介します。
4-1.「○○やらなきゃ…」といつも口にすることをやめる
先ほどご紹介したように、○○しなければ…という状態ではノルアドレナリンが分泌されます。一時的なモチベーションはあがるかもしれませんが、やるべきことに集中できず、無駄な思考が増えてしまいがち。さらにこの「○○しなければならない」という言葉は、誰かにやらされている感覚になりやすいので、やる気を損ねてしまうといわれています。
「今やろうと思っていたのに!」「ママが言うからやる気なくす」
子どものやる気を奪ってしまった経験はありませんか?
ではなぜ誰かにやらされている感覚ではいけないのでしょう。
○○しなければならないという頭で過ごしていると、だんだんと無気力になることがわかっています。つまり誰かにやらされている感覚では「自分で決めて行動している」という感覚が失われて、無意識に自己肯定感を下げ、ワクワクする気持ちはまったく起こらず気力がどんどん失われていくのです。
Let them make decisions.
子どもたちに決断をさせてあげる。
これがとっても大切。
そのためにはまず、親子で○○しなきゃをやめてみませんか。
ご飯をつくらなきゃ。送迎しなきゃ。買い物しなきゃ。掃除しなきゃ。
ママも要注意ですね。
4-2. 睡眠の質を落とす、睡眠不足をやめる
単純に、睡眠不足はドーパミンの分泌を低下させます。
睡眠は人が生きるための基本的欲求であり、睡眠不足は健康を害します。
睡眠はアウトプットする際にも重要で、睡眠不足の状態では集中力、注意力、記憶力、学習能力など、ほぼすべての脳の機能が低下するといわれています。
4-3.ママの一方的な目標設定をやめる
目標設定はとても重要です。目標が明確化されていないと、どこに向かっているのかわからず頑張ることはできません。
しかしここで言いたいのは、目標の設定の仕方ではなく、本人が納得した目標になっているか(自分で考えた目標か)ということです。
「ここまでは頑張ったほうがいいんじゃない?」
「宿題の他にこの問題集もやってみたらいいんじゃない?」
うっかり、ママが望む目標を先に伝えてはいませんか?
受け身の行動は、自発的な行動と比較しドーパミンは分泌されないことがわかっています。
まずは子どもが決めた目標を肯定し見守ることが大切です。小さなことでも子どもが目標を達成できたら、一緒に喜び自己肯定感を高めていきましょう。
4-4. ママからの一方的な評価をやめる
子どもの頑張りに対して、「まだこれやってないの?」「このやり方よりこっちの方がいいんじゃない?」など、目についた一場面を見ただけで評価的な言葉をかけていることはありませんか?
ワーママは特に忙しいもの。早くに物事を進めたくて、子どもが目標に向かって努力している過程をきちんと見ずにあれやこれやと意見を伝えると(いわゆる過干渉)、子どものモチベーションはがくんと下がります。
これらの4つのことは、おうちの中ですぐに取り入れられる方法です。
やめることは案外簡単。忍耐強く「やめる」を続けてみましょう。
5.やる気を下げる4つのポイントをやめた我が家の変化
我が家はワンオペ&フルタイム勤務で時間に追われるように生活しています。
家の中はしなければならないことだらけです。
まずはすぐに実践できる「○○しなきゃ」を封印してみました。
我が家の場合は即効性があり、生活自体は何も変わっていないのに、言葉を変えただけで変化がみえてきました。
○○しなきゃを言わないことでの変化
・不思議と気持ちが軽くなり、子どもを見守る余裕が生まれた
・イライラが減って子どもに優しくなれた
・○○しなきゃ=できない自分へ焦点が当たる=勝手にモチベーション低下
だったことがわかった
・余計な思考が減り集中力が増え行動が速くなった=スキマ時間がうまれた
言葉の影響がいかに大きいかを改めて感じました。ネガティブな言葉はネガティブ思考を作るというのは本当でした。負の言葉をやめるだけで、自動的にモチベーションupです。
家族みんなの生活習慣を変えることはそう簡単ではないので、睡眠に関しては意識をかえてみました。
「今日も○○しないで寝ちゃった…」とネガティブに捉えることが多かった我が家ですが、同じ睡眠をとるのであれば「ぐっすり寝て明日のパフォーマンスを上げよう」と思いきり寝る。
結果、翌日のパフォーマンスがあがりました。
我が家の長女は、私と違って決めたことを全部やらないと気が済まない性格です。
集中できていないのにタスクをこなすことにこだわってしまいがちでしたが、「思いきり寝る」ことで翌日のエネルギーが違うと学び、臨機応変にプラン変更できるようになってきました。
ただやめてみるだけの簡単モチベーション対策、皆さんも試してみませんか?
6.まとめ
モチベーション対策は世の中にたくさん溢れていますが、まずモチベーションについて知ることで子どもへのアプローチ方法をより具体的に工夫できるようになりました。やる気を上げる行動はすでに研究しつくされていますが、おうちの中で継続するにはママの存在が不可欠であることも強く感じました。
今回ご紹介したやる気を下げる4つの習慣は、「やらない」と決めて観察してみるだけではじめるのは簡単です。しかしやり抜くためには些細な子どもの変化を感じ取る力や、子どものワクワクをキャッチできる力が必要となります。私はこの方法を他のママたちと一緒に学び続け、過干渉から抜け出し子どもの興味を広げることを一緒に楽しめるようになりました。
みなさんは子どもの未来を他の誰かにまかせたいですか?
こどもの一番のモチベーターになって、子どもの未来を応援したくはありませんか?
興味のある方は以下の小冊子を読んでみてくださいね。
次回は、ママがぶれないモチベーターになるための7つのポイントをご紹介します。